山火事

山火事の煙にかすむマウント・アダムス Mile 2245付近
山火事による通行止めを表すテープ。マウント・アダムスの近くで

山火事は、気候が乾燥する夏の終わり(8月頃)によく起きる。原因は落雷や人の火の不始末で、大規模な山火事は、なかなか消すことができず、何日も何週間も燃え続けることもある。火災現場の近くでは、煙臭かったり、昼間から薄暗かったりする。何百キロも離れていても、風向きによっては煙の影響で景色がかすむ。

2015年のマウント・アダムスの南東側の山火事の時、その付近のPCTを歩いた。PCTは閉鎖区域のすぐ脇で、そこから東に行くトレイルは通行止めであった。時折、煙がトレイルを覆い、煙臭かったり、太陽がおぼろ月のようにかすんでいたりした。ひどい時は、昼間から夕方のような暗さで、フライシートは煙臭くなった。

山火事が起こりやすい気象条件になると、森林局がトレイルヘッドに「キャンプファイヤー禁止」などと掲示する。ハイカーも、ストーブは周りに草やテントなど燃えやすいものがないところで使い、使用中はストーブから目を離さない。

山火事がトレイルに与える影響は大きく、トレイルが火災の現場からかなり離れていても風向きなどで通行止めになることがある。トレイルが燃えてしまうと、倒木が道を塞ぐだけでなく、草木がなくなると雨による表土の浸食で道もなくなってしまうことがある。また、カリフォルニア南部でよく見られるプードルドッグ・ブッシュのように、火事の後に繁茂する毒草もある。

山火事で通行止めになると、ハイカーは迂回ルートを探さなければならない。地理感のない日本人ハイカーには難題だ。2015年のレイク・シュランの南の山火事の時、PCTのウェブサイトに迂回路の情報はなく、「様々な情報(PCTは閉鎖されるだろうとか、ノースターミナスが閉鎖されたなど)がネット上に流れているが、閉鎖区間はハイブリッジからレィニィ・パスの20マイルだけ」と、事実でない情報に混乱しないようにという注意だけだった。

私たちが知りたいことは、山火事は広がっているのか、収束に向かっているのか、う回するにはどこを行ったらよいのか、公共の交通機関はあるのか、待った方がよいか、う回路を進んで方がよいか・・・などだ。

同じ道を行くハイカーに聞くのが一番良い。複数のハイカーに聞き、最もよい方法を選ぶことだ。う回路がよくわからなかったり、一人で行くのが不安だったら、パートナーを探す手もある。トレイルで何度か会って、顔なじみになったハイカーなら、行動を共にしてくれるかも知れないからだ。追い越したり追い越されたりするときに、英語があまり得意でなくても、少しでも会話して仲良くなっておくことが一番だ。