ドナー・パス&トラッキー

ドナー・パスはハイウェイの峠で、旧道の峠と幹線道路の峠がある。ノースバウンダー(北行きハイカー)が最初に通過するのは、旧道の40号線のドナー・パス(マイル1155.6)。峠には倉庫のような建物しかないが、PCTが40号線に出たところを300m西に行くとドナー・スキー・ランチが、更に3マイル先に食料雑貨店兼郵便局のあるソーダスプリングがある。

旧道の峠より3.5マイル先にある4車線のI80(アイ・エィティと言う。アイはInterstate Highway合衆国の州間幹線道路の略)のドナー・パス(マイル1155.6)は、広いパーキングエリアがある,水道とトイレ,公衆電話があるのみで,店も自動販売機もない。

ドナー・パスから8マイル東のトラッキーは、鉄道(アムトラック)の駅があるので,シエラネバダをスキップしたハイカーのアクセスポイントになっている。シエラネバダ山脈の北端は170マイル北だが,タホ湖周辺のディックス・パス2860mやティンカー・ノブ2656m(マイル1148.1)などの急傾斜の峠道と比べ,ドナー・パスから先はペーター・グラブ・ハットの先のベイスン・ピークの麓で2560mと低くなる。また,雪が残っていてもなだらかな斜面であるため滑ったとしても転落の危険はない。映画「WILD」のシェリルも、画面から見る限りシエラをスキップした後、ドナー・パスからリ・スタートしているようだ。

ティンカー・ノブTinker Knob(丸い丘)2656m付近のトレイル

トラッキーは,夏も冬も人気のタホ湖周辺の交通の要所で,小さな観光都市。ホテルやレストラン,郵便局,ハイカーにリーズナブルなホステルもある。鉄道の駅といっても通過するのはほとんどが貨車で,客車は1日1便。(リノ8:36-トラッキー9:37。トラッキー2:38-リノ3:56)日本でいう自由席というものがなく,満席であれば乗車できない。小さな駅は無人で、切符は電話かネットで購入する。早めにスケジュールを決めて予約しないと7月や8月のシーズンは満席で乗れないこともある。

ペーター・グラブ・ハット

I80から3マイルでペーター・グラブ・ハットがある。バックカントリースキーの愛好家が管理する小屋で,夏も使えるようになっている。ここは標高2400m、6月の初めだったがあちこちに雪が残る。小屋には,先着のハイカーが薪ストーブで温めてくれていた。あと1時間は歩こうと思っていた私達も、夕方になって急に冷え込んできた外に比べると,暖かい小屋の中は魅力的で,早めに切り上げてここに泊まることにした。
先に来ていたのは,ドイツ人の夫婦で,シエラをスキップしアムトラックでトラッキーまで来たという。小屋には薪ストーブのほか,簡単なキッチンにガスのカートリッジや水のタンクが置いてあった。1階は椅子付のテーブルが4つ。2階の屋根裏部屋は20畳ほどの広さで,私たちはそこに寝袋を広げて寝た。