コロンビア川

コロンビア川 2155.1 ワシントン

コロンビア川に架かるブリッジ・オブ・ザ・ゴットは、歩道がなく、路面はメッシュ

8月14日朝、天気予報は雨だが出発。どんよりとした曇り空の下コロンビア川を渡る。コロンビア川に架かる橋「ブリッジ・オブ・ザ・ゴッド」は、歩道がないので、車が通るとわきによけなければならない。しかも、路面がメッシュで、数十メートル下の川面が丸見えというスリリングな橋。橋を渡り切るとワシントン。いよいよPCT最後の州に入った。カナダ国境まで505マイルだ。バラエティに富んだカリフォルニア、森と湖のオレゴン、そしてゴージャスな風景美のワシントン・・・と言われるが、今にも雨が降りそうな「雨のワシントン」になりそうな天候である。しかも、この先山火事が2か所で起こっている。しかし、行くしかない。橋を渡り森の中の山道を登ると、コロンビア川を見下ろす場所に来る。残念ながら山の半分は雲がたれこめ、川の前景もよく見えない。展望台へのサイドトレイルがあったが、この天気では行っても無駄だと通り過ぎる。

曇り空の下のコロンビア川 ワシントン側からより

お昼前に、早めに昼食の休憩をとる。今にも雨が降りそうで、その前にゆっくり食べて休みたかったからだ。予想通り、休憩の後雨が降り始めた。しばらくすると風を伴った本降りになる。雨は吹き上がる風に乗り、真横からレインコートをたたく。その日の午後、雨は夕方まで降り続いた。クリークのそばの高台にテントを張った時は雨は上がっていたが、食事の支度中にも時折雨が降り、レインコートを手放せない一日であった。バックパックにはレインカバーをかけてあったが、横殴りの雨のせいか、底に入れたダウンジャケットなどが濡れてしまった。レインカバーでは、ヒップベルトパックの下の方がカバーできない。翌日からはビニル袋にしまうようにした。

林道で待ち受けていたトレイルエンジェルたち

8月15日
翌朝天気は回復した。ポートランドで買った新品のテントには、初日から雨で泥で汚れてしまったが、テントを買い替えておいてよかった。前のテントはファスナーが壊れ、フライシートが閉じなかったからだ。夕方、反対方向からやってきたハイカーがトレイルマジックがあるという。そこに着くと男女4人のグループが歓声をあげて迎えてくれた。彼らは、車2台とテント3張り。車の脇にコンロやクーラーボックス、椅子などを広げて私たちを迎えてくれた。「あなたがたは私たちが会った最初のスルーハイカーだ」と歓迎してくれた。林道の脇にテントを張り、温かい飲み物やビール、ソーダ類、クロワッサンや桃をごちそうしてくれた。トレイルエンジェルのキャンプには、後続の青年も着き、賑やかになった。彼らのうちの一人は、私たちの地元、箱根の小涌園のユートピアに来たことがあると言って話が弾んだ。私たちは、2時間近く彼らのキャンプにいて、森のはずれの高台に平らな場所を見つけてテントを張った。

トレイルエンジェルと

8月16日 出発時に、昨夕のトレイルエンジェルのキャンプで、メンバーに礼を言って別れる。しばらく山を歩くと煙臭いにおいがしてきた。朝日が森の木々の間から差し込むと、煙の筋ができる。山火事に近づいているのではと思ったが、昨夕のトレイルエンジェルたちは山火事について何も言っていなかったので、風向きが変わったせいだろう。煙は場所によってで、この日は晴れ時々煙臭さという一日だった。午前中にマウントアダムスのビューポイントに着いたが、けむりで何も見えず。ここで会ったハイカーがゴスホックの写真を見て、「いつもはこんなだ」と残念がっていた。お昼前にマウントアダムスに近づくと、煙の中でかすかに山のアウトラインが見えた。火事はそのアダムスの向こうで起きているという。この火事では、PCTが通行止めになることはないと思うが、もっと先に大きな火事が起きているという。そちらの方が心配だった。
ワシントンはアップダウンが厳しいと聞いていたが、この日のトレイルは比較的平坦で歩きやすく、25マイル歩いたが、森の中の斜面で、キャンプするような平地はない。トレイルの下に比較的平らな場所を見つけ、整地をしたり細かい枝を敷き詰めて平らな場所を作り、テントを張った。